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評価:
椎名 篤子
大和書房
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(1998-05)
コメント:被虐待児の声を丁寧に拾い上げた本
Amazonランキング:
81465位
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被虐待児の声を丁寧に拾い上げた本です。
大阪でのネグレストによる幼児餓死は、記憶に新しいものです。負の経験を活かし、ご近所というものが見直されてきました。
しかし、掘り下げていくと、そんなに単純ではないと分かります。
虐待が起こりやすい環境を変えていかない限り、負の連鎖は続きます。
ちなみに、虐待が起こりやすい環境には鬱の特徴が見られるとのこと。
1.親にとって育てにくい子どもであること。子どもの性格や、病気、臨まない妊娠であったかも含みます。
2. 経済的要因、育児負担、祖父母や親せき、ご近所づきあいなどの周囲との軋轢など、自分だけではどうにもならないストレス。
3.育児の援助者がない。または、仕事や世間と隔絶している状態。
4. その他。これには、愛されたことが無いや、被虐待児であること、幸福な家庭がどんなものかを体験したことが無いこと、心身ともに育児が無理な環境などです。
女性としては、特に2を感じます。経済的自立があれば、不安要因はかなり減るはず。ところが、自分のライフプランをきちんと考えていない女性が多く、それらが弱い者にいったり、自分の体調を崩したりがあるようです。私の友人が昨年命を落としましたが、やはり、ライフプランの問題でした。
ところが、女性講座や女性講師などの集まりに行くと、理想は素晴らしいのですが、自分で食えていない(つまり、アルバイト)の女性が多く、見ていて恐ろしくなります。
もっと、自分たちで後進の女性たちのために゛経済的な道”を切り開いていかなくては、経済的な問題で起こる虐待も減らないのではないでしょうか。
さて、前置きが長くなりましたが、椎名篤子氏は以前から「被虐待児の声」を丁寧に拾い上げた本で定評があります。
人は他人との関係で自分を作っていく。その時にマイナスに押しやられる状態が続けば、どんな素晴らしい原石でも傷つきます。
そんな気持ちになる本です。